吉田においても、姓ではなく屋号で呼ばれる家が結構あります。
かつては、姓(苗字)がなく名前だけで呼ばれ、それを区別するために、屋号がつけられていました。この屋号は、吉田のほとんどにもつけられていました。明治以降、姓(苗字)がつけられるようになって、全国的にもこの屋号はだんだんと減ってきていますが、歴史を物語る味わい深いものです。
吉田で多いのは職業が屋号になったもので、上紺屋、下紺屋、紺屋、ショイ屋、油屋、箱芳、饅頭屋、鍛冶屋、歯医者、建具屋などがあり、山三、稲荷、純正もあります。
また、その人の名前が屋号となったものも多く、その人の実力や人望等をたたえた敬称と思われます。八兵衛、庄右門、甚三(じんざ)、半六など。
その人の出身地が屋号となった例として、徳田屋、土生屋、日高屋、加茂屋などがあり、住んでいた土地そのものが屋号になった例として、堂垣内、中垣内などがあります。
他に、その家の状態が屋号になったものとして、隠居、上部屋(うえびや)があります。
屋号の名前の起源がはっきりしないものもありますが、いずれにせよ、屋号はその家の歴史や地域の様子を物語る貴重なものと言えます。